MENUMENU
RSHOME

退去時の原状回復について

2025-01-16 ブログ

賃貸物件を退去する際、原状回復は避けて通れないプロセスです。
「原状回復」とは、入居者が使用した部屋を契約時の状態(通常は「入居時の状態」)に戻すことを指します。

原状回復

しかし、その範囲や費用負担の問題でトラブルになることも少なくありません。
ここでは、退去時の原状回復について、その基本的な考え方、注意点、トラブルを防ぐための対策について詳しく解説します。

1.原状回復の基本的な考え方

原状回復は、「通常の使用による劣化」と「入居者の故意・過失による損耗」を区別して考えることが重要です。
これは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にも明記されています。

①通常の使用による劣化

自然に発生する経年劣化や通常の生活で避けられない損耗が含まれます。
例:日焼けによる壁紙の変色、家具による床の軽いへこみ、設備の劣化など。

費用負担:これらは貸主(大家)が負担するのが原則です。

②入居者の故意・過失による損耗

入居者の使い方によって発生した損傷や汚れ。
例:壁に穴を開けた跡、ペットによる床や壁の損傷、タバコのヤニや臭い、故意に破損させた設備など。

費用負担:これらは入居者が負担するのが原則です。

2.原状回復の対象となる具体例

以下は、原状回復の対象となるかどうかの具体例です。

原状回復の対象にならない例(通常の使用による劣化)

  • 壁紙の自然な変色や剥がれ
  • 長期間使用によるカーペットの摩耗や色落ち
  • 水回りのシリコン部分の黒ずみ

原状回復の対象になる例(入居者の責任による損耗)

  • 壁に取り付けたフックや棚の跡
  • 飲み物をこぼしたことによるカーペットの汚れ
  • タバコによる壁紙の黄ばみや臭い
  • ペットがつけた傷や汚れ

3.原状回復費用の精算方法

精算方法

退去時には、貸主から請求される原状回復費用が敷金から差し引かれることが一般的です。
ただし、入居者の責任外の修繕費が請求される場合もあり、注意が必要です。

①敷金の扱い

敷金は、契約時に預ける保証金で、退去時に原状回復費用を差し引いて返還されます。
具体的な返還額は、修繕費や未払いの家賃がある場合に減額されます。

②費用の内訳

修繕費用の見積もりが提示されることが一般的です。
不明瞭な点があれば、詳細を確認しましょう。

ガイドラインに基づかない過剰な請求が行われる場合があるため、請求内容を慎重に精査する必要があります。

4.原状回復トラブルを防ぐための対策

トラブル対策

原状回復に関するトラブルを未然に防ぐためには、以下のような対策が有効です。

①入居時の状態を記録する

入居時に部屋の状態を写真や動画で記録し、日付を記載しておきましょう。
壁紙や床、設備など、目に見える損傷や汚れを重点的に撮影します。

②退去時の立会い

退去時には貸主や不動産会社の担当者と立ち会い、部屋の状態を確認しましょう。
その場で損傷箇所について説明を受け、必要であれば書面に記録します。

③契約内容の確認

賃貸借契約書や特約事項を確認し、原状回復の範囲が明記されているかを確認します。
特約事項に合理性がない場合、ガイドラインに基づいて交渉することが可能です。

④ガイドラインを参考にする

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認し、適切な対応を把握しておきましょう。

5.原状回復に関する法律やガイドライン

①国土交通省のガイドライン

原状回復の範囲や費用負担の考え方を示した基準で、多くのトラブルを防ぐための参考になります。
ガイドラインには「通常の使用による劣化は貸主が負担」と明記されています。

②賃貸借契約法

借主の権利を保護する法律で、過剰な修繕費用の請求を防ぐための基本的なルールを定めています。

6.トラブルが発生した場合の対応

もし原状回復費用に関して納得できない請求があった場合、以下の手段を検討しましょう。

①交渉する

貸主や不動産会社と話し合い、不明点や過剰請求の可能性を指摘します。

②第三者機関に相談

消費生活センターや弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

③訴訟を検討

交渉や調停で解決しない場合は、小額訴訟を通じて争うことも選択肢の一つです。

まとめ

退去時の原状回復は、入居者と貸主の間でしばしばトラブルの原因となります。
しかし、事前に契約内容やガイドラインを理解し、適切な対応を行うことで、スムーズに解決できるケースがほとんどです。

入居時の状態を記録し、退去時の立会いを行うことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して新生活をスタートさせる準備を整えましょう。